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校長あいさつ

2009年12月01日
「気が付けば・・・」
 早いもので2009年も残すところあと1ヵ月となりました。この1年は皆様にとってはどのような年になったでしょうか。多かれ少なかれ喜びや悲しみが交差した1年ではなかったでしょうか。学校も特に夏以降はインフルエンザ対策に追われ落ち着かない日々が続いてしまいました。何とか来年は平穏な日々が戻ることを願うばかりです。
 それにしても、今年も凶悪な犯罪が多発した年になってしまいました。最近だけでも、千葉や島根で起きた女子大生が殺害された事件や、大阪でのドラム缶の中の遺体が発見された事件など連日新聞やテレビで報道されています。子どもたちには知らせたくないニュースがこれほど溢れている昨今の社会状況は異常だとしか思えません。何が彼らを犯罪に追い込んでしまうのか真剣に考える必要があると思います。人としての有り様が私たち一人一人に問われている時代であり、一人の人間として真剣にこの事実に向かわなければいけないと思います。
 「私」と「あなた」というつながりをビジネスや利害を超えて、心というパイプで結んでいくことが絶対的に必要ではないかと思います。

 先日、静岡新聞の「大自在」に、SBSラジオが「大切なあなたへ」のメッセージを募集し、その中で最優秀賞が紹介されていました。お読みになった方も多いかと思います。
 <気が付けば、同じ番組を別々の部屋で見ていた熟年夫婦。でも単身赴任が、忘れていた優しさをよみがえらせてくれましたね。>
夫に贈るメッセージだそうですが、私にとっては、ちょっと身につまされるような、でも心を温かくしてくれるような素敵なメッセージに思えました。

 人はともすると時間の積み重ねの中で大切なものを置き忘れてしまうことがあります。慣れとか習慣とかが人の感覚を鈍らせてしまうのかもしれません。でも、人を想う気持ちや命の輝きを尊いと思う気持ちを忘れてはいけないということを、このメッセージは改めて教えてくれている気がします。勿論、夫ばかりではなく、子どもにもその愛は注がれてしかるべきです。

 「気が付けば、我が子が、だれと、どこで何をしているのかもわからない私。生まれてきてくれたあの喜びをとうに忘れて。」などということにならないようにしたいと思います。過度な放任は、親の愛を感じることができず、心を温かにはしてくれません。人に温かく接する術を学ぶことができません。
かといって「気が付けば、我が子のやることを親がやり、つけたい力もつかずにいる子。よかれと思ったことが完全に裏目。」などといった過剰な愛もまた子どもの成長にとっていい方向に働くとは思えません。
家族からの愛で自分の存在を実感し、そのことで人の存在も大切にできる人間に、人を傷つけることなどできようもありません。そう信じたいです。

 「気が付けば、やっぱり自分を愛していてくれた家族。怒られもしたけれど、苦しいときに強く抱きしめてくれました。」こんなメッセージをもらいたい私です。

校長 豊田 公敏
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