メニュー

校長あいさつ

2010年02月01日
感動すること、それは生きていること
 2月は「逃げる」、3月は「去る」。時間の流れが速いこの時期だからこそ、自分自身のこの1年の歩みを振り返ることが大切だと思います。友達とうまく付きあえず悩んだことも、精一杯がんばって大きな感動を得たことも、この1年の歴史の中に刻まれています。様々な場面に直面しながらも、それらをばねに成長をした自分がいることは確かな事実です。この1年の自分史を是非次へのステップにし、更なる歴史作りに繋げてほしいと願います。

 学校も同様に、この1年の学校史をしっかりと刻み、次年度へ繋げていきたいと考えています。教育の世界は、子ども中心の世界であるが故に、すべてが計画通りにいくということは残念ながらありません。しかし、計画通りにいかなかったときに、どう対応できるかが組織や個人に問われることだと思います。強い意志と行動力をもって直面する事実に対応していける、そんな力を学校に付けていきたいと考えています。
 子どもたちも同様に、歩む道に困難が多い時こそ決断力や行動力が試されます。テストでよい点数をとることだけが「生きる力」ではありません。困難に立ち向かう強い意志や行動力も「生きる力」の大きな要素です。真の「生きる力」を培う場を子どもに提供することは私たち大人の責務だと思います。
 先日行われた持久走記録会もそうした願いのもとに実施しました。持久走記録会を通して、苦しくてもあきらめず挑戦し、自分でも納得のいく結果が得られたり、たとえ結果は悪くても、それまでがんばってきた自分を認めることができたりしたならば、心も体も成長しているに違いありません。そして、その時こそ本物の感動を味わうことができたのではないでしょうか。
 
 「人の感動は精神の作用と思われていますが、人の感動は物理的な視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚器官の作用なのです。物理的な五感の器官から切り離された、心だけの感動などないのです。
 人間の五つの感覚も、変化やゆらぎに反応します。『視覚』は動くものに最優先で反応します。『嗅覚』もゆらぐにおいの変化に反応します。同じにおいが充満している部屋に居続ければ、においの感覚は消えていきます。子どもたちは変化する光景に感動し、流れるメロディーを聴いて感動し、なんともいえないにおいに感動し、おいしいものを味わい感動し、柔らかな肌触りに感動していきます。
 コンクリートで固められた都市は、制御されていて、安全で、効率的です。その都市には自然の変化とゆらぎはなく、子どもたちは五感を働かせません。五感が働かない世界では、感動が失われていきます。子どもが育っていくためには、感動を必要とします。いや、感動すること自体が、生きている証です。感動のない世界は死の世界なのです。生きていく子どもたちにとって、感動は絶対に必要なのです。」(首都大学東京客員教授 竹村公太郎氏)

 私たち大人が、子どもたちのためにどれだけ感動できる場(ゆらぎ)をつくることができるのか、大きな目標のひとつとして次年度につないでいけたらと思っています。

校長 豊田 公敏
戻る