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校長あいさつ

2011年03月01日
あきらめない
 いよいよ最終月、3月に入りました。学校は、卒業証書授与式に向けての準備が本格的に始まろうとしています。本日行われた「6年生を送る会」では、5年生のリーダーシップの元に、下級生が気持ちをこめて感謝の言葉を呼びかけたり、歌のプレゼントをしたりしてがんばっている姿が見られました。6年間の思い出を胸に巣立っていく6年生との別れは子どもたち一人ひとりにとっても一抹の寂しさと悲しさがあるのだろうと感じました。
 また、6年生の子どもたちには、これからの人生に幸多かれと心から願っています。
 
 さて、学校も平成22年度という1年が終わろうとしています。この12ヵ月、様々な出来事があった中で、やはりその根底に流れていたのは「子どもを真ん中において物事を考える」という理念であったと自負しています。保護者の皆様からすれば、まだまだ我が子にその思いは届いていないという方がいらっしゃるかもしれませんが、少なくとも学校の営みは子どもにとってどうかという視点で動いてきたということに間違いはありません。
 教室での学習は無論のこと、1年生を迎える会から始まって6年生を送る会まで、多くの行事や活動を通して、人としての有り様や集団の中で生きることの意味や価値を学んでくれたのではないかと思っています。一つ一つの体験が「気づき」や「納得」を生み、達成感や幸福感に満たされることにつながったとしたらこんなに嬉しいことはありません。
 狭い価値観から抜け出すためには体験から学ぶ機会を多くもつことが必要です。体験一つ一つが自分を変える力になってくれます。「なるほど、そうだったのか」と実感をもって理解する機会を来年度も大いに取り入れていきたいと思っています。

 体験から自分を更に高めようと留学した方々がニュージーランドで大きな苦しみと直面しています。語学体験の学生さんたちは無論のこと、国際社会で通用する看護師になりたいという志をもつ女性の方々や新聞社を辞めてまで学ぶことを選択した男性など、意欲をもって挑戦している方々がこんなにも多くいるのかと感動を覚える反面、なぜその人たちがこんなことになるのかと深い悲しみを覚えました。
 生きぬく、その一念で右膝から下を切断することを決意した19歳の若者の思いは如何ばかりか、そこには私の想像を遙かに超えた苦悩があったはずです。それでも「これからもいろいろな国で働きたい。英語を学びたい。」と気丈に語る彼の姿に希望の光を見た思いでした。

 「他があきらめても、日本隊は希望を捨てない。生存者がいると信じて救助活動を続けている。」地元の新聞は、救出活動を続ける日本の緊急救助隊をこう報じているそうです。
 中越大地震の時、岩に埋もれた2歳の優太ちゃんを自らの命を省みず救出した東京ハイパーレスキュー隊の方々の姿が脳裏によみがえりました。命を懸けて人を救うことの気高さを海外でも示してくれている救助隊の方々に心からの敬意を表したいと思います。
 
 崇高な使命感をもって救助を続ける人々の手が、意欲をもって挑戦している人々の手をつかむことができることを願い続けたいと思います。あきらめからは何も生まれないことを肝に銘じて。

 校長 豊田公敏
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