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校長あいさつ

2010年01月06日
心温かなお正月
 新年あけましておめでとうございます。
 新しい年を迎えました。”虎は千里をかける”にあやかり職員一同、気持ちも新たに「楽しい学校」「安心感のある学校」「達成感のある学校」を目指して努力する所存です。今年もよろしくお願い申し上げます。

 さて、皆様にとって今年のお正月はいかがでしたか。安東小学校は特に静岡以外に故郷を持つ方々が多くいらっしゃるのではないでしょうか。それぞれの故郷に帰り、久しぶりにおじいちゃんやおばあちゃんの優しい笑顔にふれた子どもたちも多かったと思います。帰省ラッシュのニュースを見て、「混むとわかっているのになぜわざわざ帰るのか。」と言う人もいますが、私は逆に、渋滞を覚悟でそれでも故郷に向かう人々の姿になぜか温かいものを感じています。

 『なぜ、人は故郷で新年を迎えたがるのだろう。故郷に惹かれるのはなぜだろう。もしかするとこうかもしれない。志を抱いて故郷を出た時と、新しい年を迎える日は、夢をつないで旅立つことで共通しているからだろう。
 その志や夢を確かめたくて、だれも自分の生い立ちのある故郷に帰る。いや、それだけではない。人はだれも家族の結びつきを求めて生きる。それを確かめにみんな故郷に帰るのだ。』

 数年前のお正月、静岡新聞社説で書かれていた文章です。
 猛烈なスピードで社会が変化し、価値観も様々に変わっていく中で、決して変わらずに優しく包み込んでくれる故郷の父、母、祖父や祖母、そして幼なじみ。それら一番の支えとなるものを私たちはつい置き去りにしているということはないでしょうか。

 お正月、静岡を離れている幼なじみが帰ってきます。お酒を酌み交わしながら、この土地で共に育ったことの喜びを共有していきます。そして、自分を育ててくれた「ひと もの こと」のひとつひとつを確認していきます。今思えば恥ずかしくなる若かりし頃のはじけすぎた情熱や忘れかけていた志を思い起こすことにもなります。人はそれぞれの人生を刻みながら、でも心のどこかで故郷と自分をつなぐ作業をしているのではないかと思うのです。それこそが自分探しの旅そのものにもなっているのです。
 学校もまた、故郷といえるような存在になりたいと思います。「小学校時代の友だちが結婚するので披露宴の中で懐かしい校舎や教室を映したい。写真を撮らせてもらっていいですか。」卒業生が昨年訪ねてきました。彼らにとって安東小で過ごした年月が人生の大切な1ページになっているとしたらこんなうれしいことはありません。

 帰省ラッシュのニュースを見るたびに、お孫さんに会うことができたおじいちゃん、おばあちゃんの喜びの笑顔が画面の奥から浮かんできます。
 日本のお正月、自分のルーツをたどり、人の幸せを想う温かな数日間でもあるのです。

 校長 豊田公敏
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